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誰のためでもなく

絵画と写真

 テレビはほとんど見ないが、数少ない視聴番組のひとつ「日曜美術館」でブリューゲルの特集をやってた。

 初期の作品は想像力と人間洞察力とユーモアと諧謔がないまぜになり、大きな画面に執拗なまでの精緻さで描かれている。
人間の愚かさや欲を時にはストレートに、時には寓話チックに描く初期の彼の作品の特徴は
・俯瞰気味で
・超広角
 である。

 これは人間界を神の視点でとらえるという意図から、むべなるかなと思う。
それにしても一枚の絵に、様々な仕掛けを含んだキャラクターをこれでもか、とてんこ盛りに描く手法は、どことなく漫画を思わせる。

 現代であればマンガ雑誌に定期的に連載する手法があるけれど、16世紀は一枚の絵画でストーリーとキャラクターを展開、完結させることで自らの作品とせざるを得なかったのかね?
ブリューゲルの絵は連載漫画のようだ。

 大ヒットコミック「ベルセルク」の世界もブリューゲルの影響がないとはいえないと個人的に思った。

 ところでブリューゲル、後期は農村の様子をストレートに描いた。

 面白いのは、この一連の作品では以前の「神の視点」としての俯瞰・広角ではなく、標準~35mmレンズでアイレベルで視た画角となっている。

 それにしても絵画って、すべてパンフォーカスなんだなぁ~とへんなことに感心した。
写真なら前ボケなどで遠近感、覗き見感を表現するけれど、絵描きは画面の隅々にまでピントを合わせるというのはなんとなくわかる気がする。アウトフォーカスにしている絵画もあるんだろうけど浅学なので知らない。

絵画と写真_c0162846_1012555.jpg

by hohoho-bw | 2011-02-13 10:02