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誰のためでもなく

マンネリじゃない、ぶれないんだ!

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 光文社新書「森山大道 路上スナップのススメ」を読んでいる。

 森山氏の著作「昼の学校 夜の学校」DVD「ニアイコール森山大道」ほか、フォトグラフィカの大道特集なんかをチェックしている自分は間違いなく彼のファンだ。

 で、この新書、大道さんの著作やインタビューを丹念にチェックしている身としては、今まで以上の発言はない。

 まあ、デジタルカメラを使っていることに対しての言及はあるけれど、「写真を撮る」哲学に対しては彼の主張は一貫している。

 「コンセプトとかよりも、とにかくあっ!と思ったらシャッターを切れ」
 「量が質を凌駕する」
 
 写真は、撮った本人の美意識とか観念を超えるものだ。
自分では何気なく撮影した光景。現像してあまりこなくてそのままにしていても、数年、もしくは数十年たった時に新たな価値を獲得するのが写真の面白さ。

 森山氏の言葉を借りれば
「時間というのは本人の意識を完全に洗い流していくってゆ~こと。それで結果的には写されたものが残っていく(中略)シャッターを押す時にはその人間の観念や美意識が反映されているんだけれど撮られたほうはそんなこと知ったこっちゃなくて、その知ったこっちゃないものが残るんだよ。、それで何年、何十年か後に『どうだ!』と呼びかけてくるわけ、写真がね。それが写真の面白さ、写真の圧倒的な強みだよね」

 この本の収穫は、章の頭に氏のコンタクトプリントが印刷されているのだ。
これだけのビッグネームのコンタクトを見ることができるのはうれしい。

 森山氏は自分も含め写真家は「慾が深い」人種だという。シャッターを押す、ということは自ら撮りたい映像を採取したいという欲望に突き動かされての発露だ。そして慾深いからこそ写真家足りえるという。

森山氏は作風と違って繊細な人のように思えるが、その実、自分の意に沿わないことは絶対にしない快楽主義者ということも、唯一無二の写真家としての地位を保証する重要なファクターだと思う。

 でも正直、最近、彼に対して飽きてきている。
by hohoho-bw | 2010-10-06 20:23