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誰のためでもなく

張って悪いはオヤジの頭

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 今日はoff

 なので髪を切った後、ヨドバシカメラへ。「風景写真」最新号を購入するため。

 しかし残念ながらまだ店頭に並んでおらず。

 せっかく来たので売り場を物色していると、ビデオで何やら流している。

 みると「三脚の伝道師による三脚の使い方」だと。

 講師はヨドバシカメラのかわいいチノパンにベストを着てはいるけれど、昭和のフレーバーをぷんぷんさせた白髪のオッサン。

 お客さん相手に売り場で実演。三脚のモデルはネオ・カマーニュ545とかそんなの。たぶんメーカーとのタイアップなんだろうね。
で、カメラは自身のかなり使いこんで黒光りしたニコンF3。カプラーをつけるなど随所にこだわりがあり「歴戦の勇士」のような風格がビデオからでもわかる。

 このオッサンの口上がまた、いい。
寅さんのようなセリフ(5,7,5調のキレのいいもの。『国の始まりがヤマトの国なら泥棒の始まりは石川五右衛門』的なものね)を織り交ぜ、三脚の間違った使用方法を糾弾し、こうしたほうがよっぽど被写体に集中できる、というテクニックをまさにテキ屋さながらにまくしたてる。

 個人的にはだいたい、実践しているテクニックだったのでべつに目新しい教えはなかったのだけれど、じっと見入ってしまったのはそのおっさんに、懐かしい「昭和」を感じたせいだと思う。

 むかし、こんなオヤジはいっぱいいた。人の意見なんか聞かない、自分の意見は金科玉条のごとし。
んで普通に「バカ野郎」なんて怒鳴り始める。

 勘違いしないでほしいのは上記の特性を皮肉るつもりも、否定するつもりもないのだよ、俺としては。
ただ、平成の日本でもまだこんなおっさんがいたことが、たまらなくうれしいのだ。

 この手の人間が評価できるのは、口調が乱暴であろうと「自分の言ったことには責任を持つ」確固たる意志が感じられること。

 いつの間にか、肖像権という言葉が庶民にまで権利として浸透し、ストリートスナップが撮れない状況になって、だれもが表現の自由を忘れ、事なかれ主義になってしまっている。
誰からも嫌われない話をする能力は評価されるべきだがそんな平均的な発言は、残念ながら人の心も動かすことはない。
それに比べ、自分が培ったノウハウを一点の曇りもない自信とともにまくしたてる絶滅危惧種が新宿西口で、意に沿わない白いベストとチノパンを着て、「三脚の伝道師」として生き延びている。

 そのことに、とてもうれしくなったのだ。

 ちなみにそのオッサンの私物のF3は死ぬほど三脚に取り付けたけれどねじ穴周りの塗装ハガレがほとんどないのは、三脚にカメラを取り付けるときに雲台を90度傾け、ねじを効き手でくりくりまわせる位置にした上で取り付ければ何の問題もない、ってことを力説してた。

 俺は無論、実践しているけどね。
by hohoho-bw | 2010-08-20 13:36