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誰のためでもなく

やわらかい、冬

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 プロの風景写真家のブログを読んだ。

 自身の作品展で、壮年以上の男性は、作品よりも
・カメラ、レンズは何を使ってる?
・フィルターは何?
・露出補正は?

 という質問を矢継ぎ早にしてくるそうだ。

 それとは対極に、若年層や女性は虚心坦懐に、そこに映っている世界を見てくれるそうで。

 自分は前者のほうだな~としみじみ。

 また、写真展会場での携帯電話使用、作品の携帯電話カメラでの撮影、作品を素手で触ることに苦言を呈していた。

 と、ここで、ちょっと違和感。

 まず、この写真家は、某有名フイルム会社の協力を得、某有名カメラメーカー(それも複数)から機材の協力を得ている。それに関してのトークショーもしている。

 こういった写真家に、機材のことを聞くのは、そんなに批難されるべきことなのだろうか?

 写真家も、それが嫌ならデータを一切公開せず、カメラやフイルムメーカーの『ひも付き』であることをきっぱりとやめるべきではなかろうか?

 また、「俺の写真展は黙って作品を見て帰れ」と言われているような敷居の高さを自ら望んでいるのもげんなりする。

 「俺の写真、しかもオリジナルプリントだぞ!渡航費だってプリント代だって、機材代だってハンパないんだ!心して見ろ!」という人が「プロ」と呼ばれている限り、日本で写真家として生活できる人間はほんの一握りのままだろう。

写真ってもっと敷居が低いものであるべきで、写真をプリントするってことは二次元を少しでも物体化した結果だからこそ手で触れて、様々な角度からみたいのに「触るな、しゃべるな(唾が飛ぶじゃねえか!)」と言われたらあなたは写真展に行きたいですか?

 「photograhica」最新号(川内倫子特集)で、「もう一度写真集とオリジナルプリントについて考える」みたいな記事があったんだけど、ホンマタカシも自分の写真展はプリントをなっがぁ~いテーブル(特注)の上にそのまま置いてあるんだね。そのまま手に取ってみてもいいらしい。

また、すんごいコレクターの人も手袋なし、煙草やコーヒー片手に大道さんのオリジナルプリントを見ていた。その方いわく「写真は臨場感。だからプリントを買うことに意味があるし、こうして手にとって眺めることが大事」と。

 日本に本当の写真文化を根付かせるために、いつまでも花鳥風月やヨーロッパのモノクロスナップをありがたがる風潮はやめにしませんか??

 ちなみに自分は、その風景写真家の作品を見ても、土地の臨場感や解放感ではなく、窒息しそうな自己満足の腐臭しか感じることができない。せっかくのオーストラリアなのにね。
by hohoho-bw | 2010-02-11 17:54