人気ブログランキング | 話題のタグを見る

誰のためでもなく

街が死んでいく様

 札幌から車で4時間ほど国道40号線を北に向かうと、その街はある。

 最近、工芸に特化した高校として全国から生徒を迎える街の手前に、つつましやかに、ひっそりと。

 咲来(さっくる)、という街はJRが日に4本。旭川へは朝6時43分発の列車がある。もちろん、無人駅。

 街を歩くと、除雪されていない家が多い。つまり、捨てられた家。

 家ばかりではない。公民館、消防署、農協などの建物の前にも雪が除雪されず1メートル以上積もっている。

 昔はそれなりにさかえていたことがうかがえる。民家にトリコロールのひさしがかかっていた。その下に開いた窓はすりガラスにされ、ポットやぬいぐるみが透けて見える。以前はひさしの下からソフトクリームかアメリカンドッグを売っていたのだろう。

 ほとんど死にかけた街、、、そう思った瞬間、何かを燃やす煙が鼻をくすぐった。

 むかし、エコロジーなんて言葉がないころ、祖母の家でもごみをドラム缶に入れて燃やしていた。ダイオキシン。

 煙の立つ方向には老婆が、祖母と同じようにごみをドラム缶の炎にくべていた。

 駅でぼんやりし、街をうろついた後その家に近づくと、老婆は一人で黙々と雪かきをしている。
とその時、けたたましい鳴き声とともにミニチュアダックスが私のほうに駆けよりながら吠えてくる。
 老婆は真剣に犬を叱りながら、抱きかかえ「すいません」といって家のほうに戻って行った。
おそらく一人暮らしなのだろう。雪かきは男の仕事だ。子供たちはとうに街を出て、住み慣れた街を離れがたくひとり暮らしているのだろう。一人暮らしのわびしさを小型犬に慰めてもらっているのだな、と推察する。
こんな田舎でもミニチュアダックス、というのがやはり平成だ。

 おそらく、もう10年もしたらこの街から人はいなくなってしまうのではないだろうか?
街が息を引き取る瞬間、、、うまく想像できぬまま、クルマを出した。

街が死んでいく様_c0162846_18183438.jpg
街が死んでいく様_c0162846_18185669.jpg
街が死んでいく様_c0162846_18191116.jpg
街が死んでいく様_c0162846_18193351.jpg
街が死んでいく様_c0162846_18195120.jpg
街が死んでいく様_c0162846_18224543.jpg
街が死んでいく様_c0162846_1823919.jpg

by hohoho-bw | 2010-01-03 18:19